第1章の叙述トリックが気に入らなくて一度積んだダンガンロンパV3ですが、やっとクリアしました。
個人的な評価としましては100点満点中の70点。過去シリーズとの相対評価だと、無印>>越えられない壁>>2>V3、ですね。
予想を裏切る展開は今まで同様にあったので、裏切り方が好みだったかどうかの問題だと思います。特に第6章で明かされた真相は否定の意見を多く産んだようで、アマゾンレビューは大荒れです。
メタフィクションとユーザー批判?
ネガティブな感想が集まった原因を考えます。
第1章から第5章まではダンガンロンパらしい物語でした。しかし第6章で以下の事実が明かされます。
・コロシアイはダンガンロンパというフィクション作品の撮影だった
(フィクションだが盛り上げるため実際に殺す)
・盛り上げるためにキャラ達は性格と記憶を植え付けられた
・自発的にコロシアイに参加していた
つまり過去のダンガンロンパ作品を劇中劇とし、そのファン達が登場キャラとなってリアルコロシアイをしていたのが、ダンガンロンパV3だったのです。
ここで重要なのは性格と記憶が植え付けられたものだった、ということです。この事実を知ったとき、第5章までの物語がとたんに薄いものに感じました。物語は生き生きとしたキャラクター達に感情移入することによって楽しさが増します。それなのに土台部分をひっくり返されたら、感情移入もへったくれもありません。
また議論の途中で、コロシアイゲームを観る視聴者達に対して登場キャラ達が批判を行います。それはダンガンロンパV3をプレイする自分自身が批判されているようにも感じられます。「あぁ、このあたりが批判が集まった理由なんだな」と思いながらプレイしてました。
嘘と本当、虚構(フィクション)と現実
次はポジティブな感想です。
王馬小吉が序盤から言っていた【嘘】(および虚構)が本作品のテーマだと思っています。
【嘘】を見抜いてコロシアイを勝ち抜き、自分自身が【嘘】の存在だと知らされる。絶望的ですね。でも最後に彼らは言うのです”【嘘】でも現実に影響を与えられるなら価値があるのじゃないか”と。
転じて”フィクション作品でも現実世界に影響を与えられるなら価値がある”とも取れます。
ダンガンロンパをプレイしているユーザーがなんらかの影響を受けて、現実に立ち向かってくれることを製作者はのぞんでいるのではないでしょうか。ダンガンロンパだけに限らず、フィクション作品全般かもしれませんが。
精神状態は不安定、金銭関係は不透明。そんな状態で世間に投げ出された彼らに明るい未来はあるのか甚だ疑問ですが、演出的には明るい未来に向かってそうなので信じることにします。
理論武装がうまくプレイできず、第6章でVITAを放り投げるくらい怒りを覚えましたが、物語全体を俯瞰して見ると、なかなかおもしろい作品だったと思います。
でもまぁ、しんどかった(笑)